不動産投資は「不動産事業」として行うべき!!

サラリーマンとして不動産投資を始めると副業の不労所得である「不動産収入」が発生します。1棟だけならいいですが続けて2棟、3棟と買い増していくならば「不動産事業」として経営規模を拡大し、その先には法人化を視野に入れて事業を行う必要があります。
法人化すると銀行等からの社会的な信用も高まりさらなる事業資金を調達したり、節税効果の高い制度の恩恵を受ける事ができます。法人化をしなくても個人事業として青色申告等を行えば受けられる恩恵や経理ルールはさほど変わりません。私も実践している経理の方法や開業についての解説をしてみようと思います。
確定申告を行うだけでなく、毎月の経理業務を行う事で収入を数字化して不動産事業を俯瞰的に見る事ができます。そうする事で収支や節税方法の改善点を見つけやすくなり、経営が上手になります。
不動産投資は小売業と違って毎日帳簿をつける必要はありません。私は毎月エクセルでレントロールと通帳を利用して帳簿をつけています。領収書は月締めでまとめていくら経費がかかったのかを確認してエクセルに記入します。物件数が多いので全てまとめた上で税理士に確定申告をしてもらってます。
毎月の経理を行う理由
□ 収入・支出・利益の可視化・・・売り上げがいくらだったか、支出の金額がいくらだったかなどがチェックできます。利益が出ていないのであれば経費の見直しなどの対策を練る事ができます。
□ 金融機関からの信用を得やすくなる・・・帳簿付をしっかり行っていると資金調達を行おうとするときに経営内容を証明する有利な材料となります。
□ 資金繰りが良くなる・・・キャシュフローを可視化する事で経営におけるお金の動きがよく見えるようになり、経営の幅が広がります。キャッシュフローを安定して維持できれば次の物件購入に役立ちます。資金繰りが悪いといざという時に現金が無くて対処できなかったら不動産投資をしている意味がありません。
不動産事業用の口座を開設する
不動産事業を開始すると経理をする前に事業用の口座を作る事をオススメします。プライベートで利用している口座と分ける事で、不動産事業の収入と支出が把握しやすくなります。私は事業用の通帳は不動産事業にしか使っていないので収支が一目瞭然です。投資物件が4つ目くらいまでは各物件ごとに通帳を分けていたのですが通帳が増えていくと全体的な収支が把握しにくくなったり、資金の移動や記帳などがめんどくさくなってしまい現在では一つの口座にまとめています。
開業に必要な届出と確定申告
サラリーマンをしながら「個人事業」を始めるには「個人事業の開業届出書」を管轄の税務署に提出します。提出すると年末に税務署から確定申告に必要な書類が郵送されてきますので、それを利用して年明けの3月15日までに「確定申告」を行い納税をします。
「確定申告」とはその年の1月1日から12月31日までにどれくらいの売り上げがあって、その売り上げから経費を引いて出た利益を確定させる事です。確定して利益を前述した税務署から送られてきた書類を使って確定申告書を作成して税務署に申告する事で、納税額が決まります。
通常サラリーマンであれば会社で年末調整を行い所得税の納税額が確定しますが、不動産投資で出た利益は個人事業として税務署に申告しなければなりません。
確定申告をすると、税務署からお住まいの市区町村に自動的に住民税額が通知されます。
会社で住民税を支払っている人「特別徴収」の場合は、本業の住民税にプラスして副業の住民税額が上乗せされて税額が会社に通知されます。
会社に副業禁止規程があり、副業がバレるのが心配な人は確定申告書にある「普通徴収」にチェックをいれる事で自分で税金を支払う事ができますので会社に副業がバレる事はありません。「普通徴収」を選択すると、自宅に住民税の納税通知書が来るので6月以降に自分で支払うことになります。
一年間の事業の流れ
1:1月から12月まで毎月の取引を帳簿につける。こまめに管理しておく事で確定申告が楽になります。税理士に丸投げするときも嫌がられません。
2:必要書類を集めて管理しておく。各通帳、領収書、帳簿、エクセル、各種控除の証明書などを分けて月ごとに保管して把握しておく。私は毎月投資物件の管理業者から家賃明細書が送られてきたらすぐにエクセルのレントロールに打ち込みます。太陽光の収入は沖縄電力の「電気実績紹介サービス」を利用して毎月発電量を確認して入力しています。
3:申告書を作成する。帳簿を元に所得と税額を計算します。
4:税務署に提出する。管轄の税務署に2月16日から3月15日までに申告書を提出します。この時期の税務署は混み合うのでインターネットを使った電子申告がオススメです。
私は物件が多くなったので全て上記の方法で管理した上で、必要書類を税理士事務所に提出して確定申告しています。手間をかけてもいい人は自分でやるのもいいと思いますが、不動産投資物件が数軒なら税理士費用もそんなにかからないのでオススメです。色々税金にかかる事を教えてくれますし。余計な時間をかけるよりも、数万円で専門家に頼む方が確実です。「本当にこれであっているのだろうか?」という不安からも解消されます。
節税効果が大きい青色申告

「青色申告」、「白色申告」とは個人の所得や売り上げ、経費などが1年を通してどれくらいあったのかを税務署に申告する申告方法の一つです。どちらを選ぶかによって記帳の方法や受けられるメリットが違います。最も節税効果があるのは「青色申告」です。青色申告なら利益から最高65万円の控除が受けられます。
しかし、青色申告で65万控除を受ける為には帳簿付けを「複式簿記」で行う事が条件になります。自分でこれから簿記を勉強できる人や、すでに簿記の知識がある人以外は簡単に複式簿記のできる会計ソフトをオススメします。
「白色申告」は経費処理が簡単なのがメリットでしたが、平成26年の1月から白色申告お行う場合でも帳簿の記帳と帳簿の保全が義務付けられほとんどメリットがなくなりました。
青色申告のメリット
□最高65万円の特別控除がある
帳簿をつける事で利益から65万円を控除する事によって支払う税金が少なくなる
法人にはこの65万円控除はありません。
□家族への給与が全額経費になる
個人の場合、原則として家族従業員への労働対価は必要経費に算入しないと所得税法で定められています。しかし青色事業専従者給与の届出書を提出すれば、生計を一にする家族や親族に支払う給与を全額経費として計上できます。家族に支払う給与が経費にできる事で売り上げから差し引く事ができ税金を減らす事ができます。
□30万円未満の資産は経費に計上できる
長期で使う10万円以上の備品は固定資産隣、数年をかけて減価償却をしながら分割して経費に計上するのが普通です。しかし青色申告の場合は購入した30万円未満の固定資産なら全額一括で経費に計上できます。
□自宅を事務所とする事で家賃や光熱費の一部が経費になる
家賃や光熱費、電話代などの一部を家事関連費として経費に計上できます。例えば100平米の自宅の20平米分を事務所として利用しているなら家賃の1/5が経費となります。私も自宅の一部に机、パソコン、プリンター、ファイル棚などを置いて法人の事務所として登記してますので、毎月2万円を法人から個人へ家賃として支払っています。
□赤字が出ても繰り越して相殺できる
不動産投資を開始して帳簿上数年間は赤字が出ることもあります。不動産投資は仲介料だけでも数十万〜数百万円かかりますし、不動産取得税、固定資産税、減価償却と計上していくと帳簿上赤字になる事があります。私も不動産投資を初めて最初の3年間くらいは帳簿上赤字続きでした。去年くらいから黒字になり税金がドバッと。。。
青色申告の場合、個人の場合は3年間、法人の場合は9年間赤字を繰り越す事ができます。
まとめ

個人事業における一番のメリットはその手軽さです。法人のように登記したり社会保険を整備したりは原則必要ありません。不動産投資を継続するのであれば「不動産事業」として経営者の目線で経営をしていく意識が必要です。不動産事業のお金をしっかりとコントロールしていけば事業の拡大も難しくはありません。毎月の経理業務を最低限でいいので行う事を心がけるだけで事業の成功に繋がると思います。