不動産投資の融資戦略

不動産投資を行うには全額キャシュで物件を買える人資産家以外は、金融機関から融資を受けなければなりません。自営業者など年収に変動の大きい人よりもサラリーマンは有利に銀行から融資を受ける事ができます。
銀行は貸したお金の利息を収入源としているので、その大切なお金を貸すのはちゃんと利子をつけて返済してくれる人を好みます。そのため、毎月安定した収入のあるサラリーマンは大変有利です。銀行はサラリーマンとしてのあなたの会社での立ち位置や、会社というバックグランドを信用してお金を貸してくれます。
個人事業主が不動産投資をしようとしても銀行はなかなか融資してくれません。事業内容にもよりますが個人事業主は売り上げの見込みが不安定だからです。
もしあなたが将来独立してやりたい事業があり、不動産投資も行いたいと考えるならサラリーマンの属性を持っているうちに投資物件を買うことをオススメします。
・属性について

前述した通りサラリーマンであれば安定した毎月の収入があるので銀行から融資を受ける際に有効に働きますが、他にもプラスの評価に繋がる部分があります。
- 勤務先・・・大企業であればあるほどあなたの後ろ盾となる会社の「信用」が上がります。就職先として選ぶのであればなるべく大きい会社の方が融資戦略としては有利になります。地元の小さい不動産会社に勤めている友人が投資物件を購入しようと銀行周りをしてましたが、結局どの銀行からも融資が出なかった事があります。自己資金も300万円くらいはありましたが。。。
- 勤続年数・・・勤務先に加えて長い間きちんと同じ会社に勤務して収入が毎年上がっている人も銀行は評価してくれます。長期間同じ会社に勤めている上にある程度の役職を得ているとなお良いですね。不動産を購入して不動産賃貸業を継続して運営し、収益からちゃんと返済してくれる人かどうかをチェックしています。
- 自己資金・・・上の二つの属性を満たしていても、自己資金が少ない人は銀行からの評価が下がる可能性があります。大きな会社に長い間勤務しているにも関わらず自己資金(貯金)が少ない人は、支出の多い浪費家と捉えられる可能性があります。また別の記事にあげようと思いますが、不動産投資をする前には必ず自己資金を準備しておく必要があります。
・どの銀行、どの支店から融資を受けるのか

融資戦略で大事な事はどの銀行から融資を受けるかという事です。なぜなら金融機関によって融資する対象となる人(個人事業主なのか、企業なのか、投資家なのかなど)、金利、年数、物件なのかなど、スタンスが大きく違うからです。同じ銀行でも支店の支店長によっても融資スタンスが全く違います。
購入したい投資物件を見つけたからといって、自宅近くの銀行へアポなしで申し込みの相談に行く人がいますが、オススメしません。例えば米軍向け外人住宅を購入したいと持ち込んだ銀行の支店長が、外人住宅案件を取り扱った事がなかったり、外人住宅に対してネガティブな感情を持っている人なら、どれだけいい物件でも、どれだけいいプレゼンをしても融資をしてもらえない可能性があるからです。
私は1棟目の外人住宅を購入してから1年ほど経ってから2棟目を購入したいと思い不動産会社からもらった資料を持って家の近くの信用金庫に行きました。家の近くの信用金庫に行った理由は高校の同級生がそこの支店で働いていたからです。
同級生を通して信用金庫の支店長とアポイントを入れて、2棟目購入に向けて意気揚々と資料を持って信用金庫へ向かいました。挨拶をして私の職業、1棟目の外人住宅をどのように運営してどれくらい収支が出てるかを説明をして、2棟目の外人住宅の資料を渡しました。
しかし、支店長は資料を開く事なく外人住宅はあーだこーだ言いながら最後まで資料を開ける事なく外人住宅はリスクが高いから融資できませんとお断りされました。(笑)初めから私は外人住宅には融資しませんと言ってくれたら時間を無駄にしなかったんですけど。
一棟目の実績あるのに。。。
そのあとある支店のおかげで4年間で8棟目まで増やす事ができました。あの時の信用金庫の支店長に会ってみたいです(笑)
とまぁこんな感じで支店長によってスタンスが違ったり、金融機関によって融資のスタンスが違ったりします。
・オススメの金融機関

私がオススメする金融機関は地元の地方銀行か信用金庫です。都市銀行などは金利が安いですが、属性、収支計画など審査がかなりきつく設定されており、サラリーマン投資家にはなかなか融資がおりません。沖縄にある都市銀行の行員さんと食事をした事がありますが、やはり個人投資家への融資はほとんど無いと言っていました。
一方地方銀行・信用金庫は地元密着型で、収支計画はしっかりとチェックしますが属性や自己資金については都市銀行程厳しくありません。私は沖縄の地方銀行から約5億円を融資してもらってます。普通のサラリーマンが融資を引き出すには地方銀行・信用金庫以外は無いと思います。
しかし、都市銀行と比べて融資を受けやすいからと言って、地方銀行・信用金庫も簡単には融資をしてはくれません。やはり投資家(不動産経営者)としてしっかりとした事業計画・融資担当者へのプレゼン・自己資金の準備は必須であると思います。
沖縄県内にある地方銀行・信用金庫を紹介しておきます。
沖縄銀行:https://www.okinawa-bank.co.jp/
琉球銀行:https://www.ryugin.co.jp/
沖縄海邦銀行:https://www.kaiho-bank.co.jp/
鹿児島銀行:https://www.kagin.co.jp/
・ローンの種類

ローンの種類について説明します。個人不動産投資が利用する融資には大きく分けて「アパートローン」と「プロパーローン」があります。簡単に説明すると
アパートローン:個人の不動産投資家向けにパッケージ化された商品
プロパーローン:不動産購入に限らず、個人・企業の「事業資金」として貸し出す融資
アパートローンは不動産に限定したパッケージ型のローン商品です。金利は住宅ローンより高く設定されておりますが、個人投資家向けの商品で会社員としての本業の給与をベースに返済する事を想定しているのでサラーリーマンにも借りやすくなっています。パッケージ化されているので融資期間、融資金額上限、金利などがあらかじめ決まっているので審査期間が短く手続きも比較的簡単です。会社員としての属性がよければ個人への融資もおりやすく、また連帯保証人が不要な場合がほとんどです。
プロパーローンは不動産購入に限らず、事業融資になるので各金融機関の融資担当のスタンス・裁量によって大きく差が出てきます。アパートローンのようにパッケージ化されていないので、ローンに柔軟性があります。属性・事業計画がよければ比較的アパートローンよりも安い金利で融資が受けられますし、アパートローンよりも高額な融資を引き出す事も可能です。しかし審査期間が長くなる傾向があり、連帯保証人を求められる事も多々あると思います。
私は地方銀行から個人で約2.5億、法人で約2.5億融資を受けていますが、住宅兼用アパート以外は全てアパートローンで借り入れをしております。上記で説明した通りパッケージ化されているローンなので物件購入時の審査も早いですし、連帯保証人も求められていません。この地方銀行のアパートローンの上限が3億円までなので、それを越えるとプロパーローンで借り入れを進めていきたいと融資担当者とは話しております。また、別な地方銀行・信用金庫からアパートローンを借りる事も検討しております。パッケージ化されているアパートローンの方が手続きも楽なので。(笑)
早期の資産規模の拡大、キャッシュフローの拡大を求めるのであれば、一つの銀行でアパートローンの枠を使い切って、プロパーローンで不動産賃貸事業として進めるのが良いのかもしれません。
融資担当者へのプレゼンテーション

最後に融資担当者へのプレゼンテーションについてです。
購入したい投資用不動産が決まっても、融資がおりなければ何の意味もありません。買付を1番手で行っても、キャッシュで購入したいと申し出てくる人が出てきたり、2番手で買付を出した人の融資が先に承認されてしまったりと、銀行融資のスピードはかなり大切です。
私は銀行に融資の申し込みをする前に事前に下記の書類を準備するようにしていますので参考にしてみてください。
- 過去2年分の確定申告書(サラリーマンの場合は源泉徴収票)・・・よく失くしてしまう人がいます。私は確定申告書を使うのですが、サラリーマンとしてもらう源泉徴収票は働き始めた時からちゃんと保管しています。
- 全ての預金通帳・・・現金資産がいくらあるのか、もしすでに不労所得等があるのならそのキャッシュフローを見せる事ができます。また、ローン返済している口座があれば必ず提出するように求められます。
- すでに保有している物件の登記事項証明書と固定資産税評価証明書・・・ローン申し込み時に全ての原本を取るとなると結構な金額になるので私は全てスキャンしてコピーを提出しています。保有物件の写真付き概要書、レントロールもエクセルにまとめて提出します。銀行担当者はこの概要書が稟議書を作る時に凄く助かると言ってくれます(笑)個人でここまでまとめる人はあまりいないそうです。
- 現在融資を受けている物件の返済予定表・・・大抵は銀行から送られてくるもので十分です。
- 運転免許証などの身分証明書
- 購入する物件の概要書と関連書類・・・平面図・登記情報・レントロール・公図・評価証明書など
以上に加えて私は米軍向けの外人住宅を購入するのがほとんどなので階級に応じた家賃のリストも自分で作成して提出しています。これもいつも銀行担当者に喜ばれます。融資はスピード勝負ですので事前に資料を準備して銀行に持ち込む事で受付がスムーズになり、決済が他の人より早くおりる可能性が高まります。
銀行は融資をした後にちゃんと利子をつけて返済してくれるかをチェックしています。事前にしっかりとした準備をして申し込みに行く事で個人投資家としての評価は確実に上がります。また銀行へ申し込みに行くとよく聞かれる質問で「あなたはなぜ不動産投資をしたいのですか?」と聞かれます。この質問からも銀行はこの人が不動産賃貸業をして経営できるのかをチェックしていると思います。いくらサラリーマンとしての属性が高くてもしっかりとした経営のビジョンを持っていないとこの人はリスクが高いと思われてしまいます。
私が物件を持ち込む時はまず前述した資料を準備します。そして持ち込む銀行のホームページにあるローンシュミレーターを使って自分がお願いしたい金利・期間を印刷して持っていきます。
例えば
このシュミレーションで融資が受けられれば毎月35万円の家賃が入ってきます。返済が毎月18万円なので諸経費を引いても手元に15万円残りますので、年間だと180万円キャッシュが生まれます。固定資産税が25万円なので差し引くと155万円も手元に残るのでかなりリスクの少ない物件です。仲介料・登記料は自己資金で賄います。他の物件も持参した資料の通りちゃんと管理・経営して収支も出ています。なので融資してください。
という感じでプレゼンテーションを行なっています。融資を受ける投資家側が購入しようとしている物件について知らない事はないくらい準備していくと融資がおりる確率がグンと上がると思うので参考にしてみてください。